米津玄師「海の幽霊」歌詞の意味(解釈)とは?『怪獣の子供』主題歌

米津玄師

米津玄師さんの「海の幽霊」は、映画『怪獣の子供』の主題歌です。

米津玄師「海の幽霊」歌詞

作詞・作曲:米津玄師

開け放たれた この部屋には誰もいない
潮風の匂い 染み付いた椅子がひとつ

あなたが迷わないように開けておくよ
軋む戸を叩いて
何から話せばいいのか
わからなくなるかな

星が降るように あなたに逢いたい
あの夜を忘れはしない
大切なことは 言葉にならない
夏の日に起きたすべて

思いがけず 光るのは
海の幽霊

うだる夏の夕に 梢が船を見送る
いくつかの歌を囁く 花を散らして

あなたがどこかで笑う声が聞こえる
暑い頬の手触り
ねじれた道を進んだら
その瞼が開く

離れ離れでも時が来るの
叫ぼう「今は幸せ」と
大切なことは言葉にならない
跳ねる光に溶かして

星が降るように あなたに逢いたい
あの時を忘れはしない
大切なこと言葉にならない
夏の日に起きたすべて

思いがけず 光るのは
海の幽霊

風薫る 砂浜で
また会いましょう

(公開されたものを耳コピしました)

米津玄師「海の幽霊」歌詞の意味考察

米津玄師さんの「海の幽霊」は、消失をどう乗り越えればいいか教えてくれる曲です。

歌詞考察歴2年、米津玄師をリスペクトする私が「海の幽霊」の歌詞の意味を考えていきます。

開け放たれた この部屋には誰もいない
潮風の匂い 染み付いた椅子がひとつ

誰かが去っていったのでしょうか。

その寂しさだけが残っているようです。

もう何日も帰ってきていないのではないでしょうか。

潮風の匂いが完全に椅子に染み付いています。

その人が座っていた椅子だけがとても印象深くその部屋に佇みます。

椅子があるということは、その人が”いた”という証なのです。

あなたが迷わないように開けておくよ
軋む戸を叩いて
何から話せばいいのか
わからなくなるかな

あなたはいなくなったけれど、主人公はそれを受け入れられずにいるようです。

あなたは帰ってくると約束してくれたのかもしれません。

でもまだ帰ってこないのです。

主人公はこの感情をどう表現すればいいのかわかりません。

「待つのも違う。でも諦めるのも違う。」

だって、まだあなたはいなくなったわけではありませんから。

今確かなことは、ここにある椅子が潮風にさらされているということだけです。

星が降るように あなたに逢いたい
あの夜を忘れはしない
大切なことは 言葉にならない
夏の日に起きたすべて

本当は一目散にあなたのそばに掛けていきたいです。

「ああ、やっと帰ってきてくれた」そう言う瞬間を今か今かと待ち続けているのです。

まるでドラマの再会のシーンのように、あなたが私の眼に映る瞬間を。

私はどうすればいいのでしょうか。

待てばいいのでしょうか。

諦めればいいのでしょうか。

ねえ、教えて下さい。

「この気持ちをどう表現したらいいですか?」

あなたが答えを持っているんですよ。

思いがけず 光るのは
海の幽霊

どうしていいか、わからない私の悲しみを癒してくれるものがありました。

それは、偶然見た海の風景だったのです。

「ねえ、教えて下さい。どうして自然は私の気持ちを知っているのですか?」

言葉で表現できない私の気持ちを、なぜ自然は慰めることができるのでしょうか。

綺麗な姿で、私を励ましたのは、目の前に輝く海でした。

うだる夏の夕に 梢が船を見送る
いくつかの歌を囁く 花を散らして

うだるとは、「だるい」という意味です。

梢とは「木々の先端部分」のことです。

私は自然とともにあなたを迎える日々を過ごしているのかもしれません。

優しい自然と一緒に、悲しみを乗り越えるのです。

でも、あなたが乗る船は帰ってきません。

あなたがどこかで笑う声が聞こえる
暑い頬の手触り
ねじれた道を進んだら
その瞼が開く

今はあなたのことを想像することしかできません。

でも今でも鮮明に蘇るあなたの記憶は、私がどんなにあなたを愛していたのかを気づかせます。

辛いけれど、愛おしい瞬間、あなたと記憶で結ばれる。

その瞬間しか私にはもう残されていないのでしょうか。

離れ離れでも時が来るの
叫ぼう「今は幸せ」と
大切なことは言葉にならない
跳ねる光に溶かして

離れていても、同じように時間は過ぎていきます。

そうしてまるで私たちが会っていたことすら嘘のような日々が進んでいくのです。

長ければ長いほど、あなたの記憶が薄れていきます。

でも決してあなたを忘れることはありません。

いなくなったあなたを想う気持ちは切ないけれど、もう忘れなければならないのかもしれません。

あなたがいなくても、私は幸せだと思える時間も増えました。

もう大丈夫なのかもしれません。

あなたがいなくても、本当は生きていけるのです。

星が降るように あなたに逢いたい
あの時を忘れはしない
大切なこと言葉にならない
夏の日に起きたすべて

何故なんでしょうか。

不意にあなたに会いたくなる時があります。

綺麗な星降る夜空を見た時でしょうか。

綺麗なものはやっぱりあなたと一緒に見たいのです。

だってあなたが見せてくれた笑顔は、どんな景色よりも美しかったから。

私はあなたを忘れることはできません。

だってあなただけが私の心を包んでくれたから。

思いがけず 光るのは
海の幽霊

今、私を慰めてくれるのは、この海の風景だけです。

それもあなたには敵いません。

だって海で私はあなたの帰る奇跡をまだ信じているのですから。

風薫る 砂浜で
また会いましょう

「いつか会えたらいいな。」

もうそれはないんでしょうけれど。

「ありがとう。」

「あなたがいてくれたこと。」

「感謝しています。」

「さようなら。」

米津玄師「海の幽霊」MVの意味考察

私たち人間は日々忙殺されて生きています。

食べ物を獲るために大変だった、原始時代からはとても便利で豊かになりました。

もう食べ物を狩に行かなくて、スーパーやコンビニで手に入れることがあります。

でもどうしてか、時々自然に帰りたくなる時があります。

自然には苦しみしかありません。

獲物を仕留めることができなければ、食べ物を食べることもできませんから。

そんな過酷な生命が暮らしています。

でも私たちは、この便利な社会で息苦しくなることがあるのです。

どちらが幸せなのかと聞かれたら、こちらの方がいいに決まっています。

でもどうして私たちは、自然に、自由に憧れるのでしょうか。

私たちも、自然も同じことを生きています。

明日を生きれるように、食事をして、明日を生きれるように、また捨てて。

そうやって日々を生きているのです。

この地球でそれだけは、誰も変わりません。

ただ、そこに希望を足した人間が愚かだったのでしょうか。

米津玄師「海の幽霊」を聴いた感想

米津玄師さんの「海の幽霊」は、消失の歌だと私は思いました。

生きる上で、消失(別れ)は避けられません。

不慮の事故や病気によって亡くなる家族。

生き物だから、どうしても別れがやってきます。

この歌の主人公は、その消失から目を背けていました。

苦しい感情から逃げていたのですね。

でも苦しみはどこまでも追いかけてきます。

どんなに逃げても追いかけてきます。

主人公は逃げることを諦めました。

諦めたら、そこには大きな自然が待っていたのかもしれません。

そこには生き物たちがたくさんいました。

彼らは人間よりも必死で生きています。

明日さえ無いかもしれない、日常を平然と生きていたのです。

そう考えたら、人間はどんなに幸せな生き物でしょうか。

たとえどんなに辛いことが起きても、やがてその苦しみは癒えていきます。

人間には明日が保証されています。

少なくとも明日だけはあるのです。

悲しいことがあっても、明日を生きましょう。

今日を乗り越えましょう。

そうすればまた、きっと新しい日々が始まるのですから。

米津玄師コメント

米津玄師さんは、「海の幽霊」について以下のようにコメントしています。

原作を初めて読んだのは10代の頃だと思うのですが、そのすごさに圧倒されたことを憶えています。今読み返してもあの時の衝撃は全く古びず、更に新しい発見をもたらしてくれます。
もし映像化されるのであれば歌を作らせてほしいなあなんていうふうに思ってたことが、今日になって実現するというのはなんとも感慨深いです。
原作が持ってるものに負けないよう、それでいてうまく寄り添えるようなものが、果たして自分に作れるのかと、ここ数ヶ月は問答の日々でした。今は映画館で流れる日を楽しみにしています。

米津さんは、『怪獣の子供』を10代の頃に読んでいたのですね。

『怪獣の子供』はとても不思議ですが、とても重要な話です。

私もそのすごさに圧倒されました。

いろんなことを考えさせられる不思議な物語です。

米津さんはその世界観を感じた心で、どのような音楽を作り出したのでしょう。

『怪獣の子供』とは?

映画『怪獣の子供』(6月7日公開)は、ジュゴンに育てられた子どもたちが、琉花に出会ってから起きる事件を描いた感動作です。

海と空と琉花の3人が出会ったことがきっかけで、世界中の海の魚たちが日本に向かってきます。

ジュゴンに育てられた海と空は果たして何者なのでしょうか。

海中でジンベエザメが光となって消えたのを目の当たりにした3人。

その後空の体も光だし・・・。

キャスト

琉花を演じるのは、芦田愛菜さんです。

14歳になった芦田愛菜さんが、家でも学校でも居場所をなくしてしまった繊細な少女の声を担当します。

海を演じるのは、石橋陽彩さんです。

2018年『リメンバー・ミー』でミゲルの声を演じ、スターの仲間入りを果たしました。

そして、空を演じるのは、浦上晟周さんです。

浦上さんはまだ無名ですが、「トモダチゲーム」などに出演されています。

この出演をきっかけに、注目されるかもしれません。

そのほか森崎ウィンさん、稲垣吾郎さん、蒼井優さん、渡辺徹さん、田中泯さんなどがキャスティングされています。

原作者・五十嵐大介

『怪獣の子供』の原作者・五十嵐大介さんは、自然を主題とした幻想的なものを多く描いています。

五十嵐さんの漫画はとても細かく描写されているので、ページを開いた瞬間にその世界に吸い込まれるような気分になります。

五十嵐大介コメント

原作者の五十嵐大介さんが、「海の幽霊」について以下のようにコメントしています。

米津玄師さんと初めてお会いしたのは何年前になるでしょうか。
それからの様々な人のつながりを経て、映画「海獣の子供」の主題歌を米津さんに…という話を伺った時、
来るべきものが来たような、不思議な昂揚(こうよう)を感じました。
心を高く深く拡げてくれつつ、同時に着地点を示してくれるような美しい歌に出会えて、今はただ感無量です。

「海の幽霊」はまだ全てが公開されていませんが、米津さんのこれまでの曲と同様、何か新しい考え方を共有してくれる曲となっているようです。

五十嵐さんは、「海の幽霊」を”心を高く深く拡げてくれつつ、同時に着地点を示してくれるような美しい歌”と表現しています。

素晴らしい表現力で、説明して下さいました。

心を高く、深く、広げてくれる。

素晴らしい言葉だと思います。

米津玄師「海の幽霊」リリース日

米津玄師さんの「海の幽霊」は、6月3日にリリースされました。

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家でじっくり聴きたいです。