米津玄師「ピースサイン」歌詞の意味(解釈)とは?

米津玄師

米津玄師さんの「ピースサイン」はアニメ「僕のヒーローアカデミア」第2期第1クールのオープニングテーマです。

アルバム『BOOTLEG』に収録されています。

米津玄師さんの「ピースサイン」はどのような曲なのでしょうか?

米津玄師「ピースサイン」歌詞

作詞:米津玄師
作曲:米津玄師

いつか僕らの上をスレスレに
通り過ぎていったあの飛行機を
不思議なくらいに憶えてる
意味もないのに なぜか

不甲斐なくて泣いた日の夜に
ただ強くなりたいと願ってた
そのために必要な勇気を
探し求めていた

残酷な運命が定まってるとして
それがいつの日か僕の前に現れるとして
ただ一瞬 この一瞬 息ができるなら
どうでもいいと思えた その心を

もう一度
遠くへ行け遠くへ行けと
僕の中で誰かが歌う
どうしようもないほど熱烈に

いつだって目を腫らした君が二度と
悲しまないように笑える
そんなヒーローになるための歌
さらば掲げろピースサイン
転がっていくストーリーを

守りたいだなんて言えるほど
君が弱くないのわかってた
それ以上に僕は弱くてさ
君が大事だったんだ

「独りで生きていくんだ」なんてさ
口をついて叫んだあの日から
変わっていく僕を笑えばいい
独りが怖い僕を

蹴飛ばして噛み付いて息もできなくて
騒ぐ頭と腹の奥がぐしゃぐしゃになったって
衒いも外連も消えてしまうくらいに
今は触っていたいんだ 君の心に

僕たちは
きっといつか遠く離れた
太陽にすら手が届いて
夜明け前を手に入れて笑おう

そうやって青く燃える色に染まり
おぼろげな街の向こうへ
手をつないで走っていけるはずだ
君と未来を盗み描く
捻りのないストーリーを

カサブタだらけ荒くれた日々が
削り削られ擦り切れた今が
君の言葉で蘇る 鮮やかにも 現れていく
蛹(さなぎ)のままで眠る魂を
食べかけのまま捨てたあの夢を
もう一度取り戻せ

もう一度
遠くへ行け遠くへ行けと
僕の中で誰かが歌う
どうしようもないほど熱烈に

いつだって目を腫らした君が二度と
悲しまないように笑える
そんなヒーローになるための歌
さらば掲げろピースサイン
転がっていくストーリーを

君と未来を盗み描く 捻りのないストーリーを

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米津玄師「ピースサイン」歌詞の意味考察

“いつか僕らの上をスレスレに
通り過ぎていったあの飛行機を
不思議なくらいに憶えてる
意味もないのに なぜか”

昔、自分たちの頭上すれすれを通って飛んで行った、飛行機のことを思い出しています。

特に何の意味もない光景のはずなのに、なぜか鮮明に記憶に焼きついていると言っています。

その光景に何か象徴的な意味を見出しているのでしょうか。

“不甲斐なくて泣いた日の夜に
ただ強くなりたいと願ってた
そのために必要な勇気を
探し求めていた”

自分の不甲斐なさに泣いた日のことを思い出しています。

泣いた自分と決別し、強くなりたいと願っていたのです。

強い自分になるためには、勇気が必要です。

その勇気を探していたそうです。

“残酷な運命が定まってるとして
それがいつの日か僕の前に現れるとして
ただ一瞬 この一瞬 息ができるなら
どうでもいいと思えた その心を”

もしかしたら自分には残酷な運命が待っていて、それが現実になることを避けられないのかもしれない、と考えています。

たとえそうだとしても、何が起きても、一瞬一瞬を息ができているならどうでもいいと言っています。

未来に不安を感じて、臆病になっているならば、その不運な瞬間さえも息ができていることに感謝をしたいと言っているような気がします。

その問題をきちんと受け止め対処することができれば、未来も怖くないのかもしれません。

“もう一度
遠くへ行け遠くへ行けと
僕の中で誰かが歌う
どうしようもないほど熱烈に”

自分の心の中に熱烈な歌が響くと言っています。

自分を鼓舞するその声は、もう一度前へ進め、遠くまで進めと歌います。

不甲斐なくて泣いた自分をもう一度立ち上がらせるための歌なのでしょう。

”いつだって目を腫らした君が二度と
悲しまないように笑える
そんなヒーローになるための歌
さらば掲げろピースサイン
転がっていくストーリーを”

泣き虫な君がもう悲しまなくてすむように、いつも笑顔を崩さないヒーローになりたいと願っています。

自分の心に響くこの歌が、自分をそんな理想のヒーローにしてくれる力になると言っています。

弱い自分と決別し、ピースサインを掲げて目標に立ち向かうヒーローになりたいのです。

どんな方向に転がっていくかわからない未来のストーリーを、そんなヒーローとして生きていきたいのでしょう。

“守りたいだなんて言えるほど
君が弱くないのわかってた
それ以上に僕は弱くてさ
君が大事だったんだ”

自分は君を守りたいと思っていたけれど、君が弱い存在でないのはわかっていたのだと言っています。

実際には自分こそが弱い存在だったのだけれど、君を大事に思っていたからこそ、守りたかったのです。

自分の弱さを認めつつ、それでも誰かを守りたいと思う気持ちが自分を突き動かすのです。

それが愛なのかもしれません。

“「独りで生きていくんだ」なんてさ
口をついて叫んだあの日から
変わっていく僕を笑えばいい
独りが怖い僕を”

以前には、独りで生きていくのだと叫んだ日があったと言っています。

自分のあり方を求めて、周りに反発したりしてもがいていたのでしょうか。

そんな日もありましたが、自分は随分変わったと言っています。

今は独りが怖いのです。

残酷な運命に立ち向かうため、あるいは弱い自分がなんとかして大事な人たちを守るためでしょうか。

今は仲間と共にあることを望んでいるようです。

“蹴飛ばして噛み付いて息もできなくて
騒ぐ頭と腹の奥がぐしゃぐしゃになったって
衒いも外連も消えてしまうくらいに
今は触っていたいんだ 君の心に”

不格好にもがいて苦しんで、自分の思考や感情がぐしゃぐしゃに乱れてしまうとしても

衒い(てらい)とはひけらかす事をさします。

外連(けれん)とはごまかしをさします。

取り繕ってきた見せかけの強さやかっこよさもどうでもよくなるくらい、君の心に触れていたいと言っています。

君の心を感じ、君と共に歩んでいきたいのでしょうか。

“僕たちは
きっといつか遠く離れた
太陽にすら手が届いて
夜明け前を手に入れて笑おう”

君と一緒ならば、いつか太陽にまで手が届くほど、遠くまで進んで行けると言っています。

自分たちにしか見られない夜明け前の景色を二人だけで眺め、笑い合いたいと言っています。

”そうやって青く燃える色に染まり
おぼろげな街の向こうへ
手をつないで走っていけるはずだ
君と未来を盗み描く
捻りのないストーリーを”

そして燃えるような夜明けの青さに身を染め、まだ見ぬ世界へ二人手をつないで走っていけると考えています。

君と一緒にまだ誰も知らない世界に飛び込み、捻りのない王道のヒーローへの道を進んで行きたいのです。

“カサブタだらけ荒くれた日々が
削り削られ擦り切れた今が
君の言葉で蘇る 鮮やかにも 現れていく
蛹(さなぎ)のままで眠る魂を
食べかけのまま捨てたあの夢を
もう一度取り戻せ”

たくさんかさぶたを作って暴れた昔の自分、そして消耗してすり切れてしまった今の自分、君の言葉があるだけで、そんな自分を思い起こし、改めて見つめることができるのだと言っています。

成長の途上で眠ったままの自分の魂を呼び覚ませ、途中で諦めてしまった夢をもう一度追い求めろ、と自分を鼓舞しています。

君の言葉が、もう一度全力で夢に向かって進んでいく勇気をくれたということではないでしょうか。

「僕のヒーローアカデミア」は、「ヒーロー」が職業として成立した世界で、個人個人の特殊能力(「個性」と呼ばれます)を活かしてヒーローを目指す少年少女の成長や友情を描いた作品です。

そのオープニングテーマであるこの歌では、少年少女が仲間と共に成長し、夢に向かって駆けていく様子が生き生きと描かれています。

作品には、人気・実力ともにナンバーワンで「平和の象徴」と呼ばれるヒーロー、オールマイトが、主人公の憧れの存在として描かれています。

このヒーローは、いつも笑顔を絶やしません。

ヒーローが笑っていないと、救うべき人々が不安になってしまうからです。

この歌で理想のヒーローとして描かれているのは、まさにこのオールマイトの姿でしょう。

人々が悲しまないようにいつも笑っていて、その存在だけで平和を象徴するような偉大なヒーローです。

歌詞には、自分たちの近くから遠くへ飛んでいく飛行機、そして太陽など、自分を前に進ませる目標が散りばめられていますが、こうした描写も、理想のヒーローという目標を表すものでしょう。

一方で、不甲斐なくて泣いたり、独りで生きていくと叫んでみたりと、私たちが皆一度は経験する心の葛藤も描かれています。

ありきたりな困難を経験しながら理想のヒーローを目指して成長していく等身大の少年少女を歌った歌詞に、誰もが共感し、背中を押してもらえるのではないでしょうか。

MV考察

この歌のMVは、米津玄師さんが歌ったり創作活動をしている様子を描いたものと、「僕のヒーローアカデミア」のアニメーションを使ったものの2通りあります。

アニメーションの方は、歌詞に沿ってアニメの登場人物の戦闘シーンや葛藤の場面等が映し出され、ストーリーを知っている人はこれだけで楽しめる内容になっています。

米津玄師さんを映したものでは、はじめ米津さんが一人で歌っています。

途中で青い光に照らされて米津さんのシルエットが幻想的に映し出される場面では、「青く燃える色に染まり」という印象的な歌詞が思い起こされます。

その後、壁に立てかけた大きなキャンバスに向かって筆を振り、前衛的な絵を創作している様子が映されますが、ここまで米津さん以外の人は映りません。

最後のほうになって、米津さんがギターを手にしてバンドメンバーに囲まれて歌う様子に変わります。

一人で歌っていた米津さんが、最後は仲間と一緒に楽器を奏で、歌っているのです。

独りが怖くなって、仲間の心に触れ、共に進んで行きたいと歌う歌詞は、米津さん自身の心の変化にも重なるものなのかもしれません。

あるインタビューで、米津さんは「子供の頃の自分と対話しながらこの曲を作った」というようなことを語っています。

自分自身が子どもの頃に感じた反発や葛藤、そして目標へと進む努力を思い出して丁寧に歌詞で表現したからこそ、万人が共感し勇気をもらえる歌になったのではないでしょうか。

タイトルの意味

「ピースサイン」は、私たちも日常でよく使う、この歌のCDジャケットの絵でアニメの主人公が掲げている手の形のことです。

日本での使われ方とは少し違いますが、英語圏では、伸ばした2本の指がローマ字のVの字のように見えることから、勝利を表す「Victory」という単語になぞらえ、勝利のアピールを行うジェスチャーとして使われます。

このタイトルで、ヒーローとして敵に勝利すること、あるいは弱い自分に打ち勝ち前進していくことを表現しているのかもしれません。

また、「ピース」は英語で平和のことですので、ピースサインは平和を祈るジェスチャーとしても用いられます。

アニメ作品に出てくる主人公の憧れのヒーローは、平和の象徴と呼ばれています。

ピースサインを掲げることは、憧れのヒーローを自分の目標として掲げ、追いかけて努力する姿勢を示しているのではないでしょうか。